ふたご王子に恋をした
「お前がちゃっかり寝るからいけねーんだろーが!」


「あたしだって寝ようと思って寝たわけじゃ……勝手にまぶたが閉じてしまって…」


「言い訳はいいから早く支度しろ。帰るぞ。」


「むっ…はいはい。」



学校を出る頃にはさっきにも増してすっかり暗くなっていた。


おまけに寒い!


もうすぐ冬なんだなということに気付かされる。


トイレに寄ってから慌てて昇降口へ向かうと、寒そうに待つ陽の姿が見えた。



「ごめんごめん!お待たせしました。」


「…マジだわ……。」



不機嫌そうな顔であたしを見たかと思うと、口元のあたりにスッと手が伸びた。



え……えっ!?





「……髪の毛、食ってる。」




………へ?
か、髪の毛…




「あ………あぁ…ありがと。」



なんだ髪の毛か…


ホッと息を吐き出すあたしを見て、陽が鼻で笑った。





「…なに、キスされるかと思った?」



「は!?おお思ってないし!」



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