ふたご王子に恋をした
「…まぁ今とあんまり変わんねぇけど、ほとんど学校は行ってない。つーか、前に旭が余計なこと言ってたろ。」



余計なこと……



『昔はお巡りさんによくお世話になってたよね』



あぁ!
あれか!


旭がずっと前にそんなことを言ってたのを思い出した。



「……あんときは親父にすげームカついてた時期で、おまけにまわりは何も事情知らないくせに金持ちの息子はいいよなって騒ぎたてる。ウンザリした生活だった。」


ため息混じりに答える陽を見ているとそのときの苦労がなんとなく伝わってきた。


「学校なんてクソだなって思ってたし、このまま登校拒否してやろうっても思ってた。だけど…………」



「…だけど?」



そこまで言いかけて陽はハッとして小さく首を横に振った。



「…なんでもない。」


「は!?え、なに!気になるじゃん!途中まで言ってなんでもないって!」


「お茶、おかわりは?」


「あ、あぁ…お願いします…」



冷静に、かつ、うまく話をかわされ、カップを持った陽はキッチンへと向かった。


なんだかスッキリしないなー…



「…そういえばさ。」


「んー?」


「お前って彼氏とかいたことあんの?」


「ブッ…!ゲホゲホ…」


いきなり脈絡のない話をフラれ思わずむせかえる。

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