ふたご王子に恋をした
「…なんだよ、その顔。」


「へ、へっ!?へへ変な顔してる!?」



動揺を隠しきれないといったように慌てるあたしを見て陽はクスッと笑ったが、すぐにマジメな顔に変わった。



「…まわりくどい言い方しないでハッキリ言ったほうがいい?」



心臓が異様なほどバクバクと音をたてている。


目を離して違う話題にいきたいのに、目が離せない。


頭の片隅で、もうひとりのあたしは…


このあとの展開を…


何かが起こることを、


期待してる。




うぬぼれんのもいい加減にしろよ、調子乗ってんなよ、


自分に言い聞かすけど、そんな安易な言葉を跳ね返すくらい陽の目はいつになく真剣だった。



「俺……麻衣のこと……」



ヒーッ!
きき緊張が………っ



ギュッと拳を握りうつむいたときだった。



「……………あ。」



あたしの目に1枚の写真が飛びこんだ。


ムスッとした陽と、旭の満面の笑みのアップ、そして、もうひとり…髪の長いカワイイ女の子との3ショット…



今まで見た写真にはいなかった、唯一の女の子。


カワイイなんて言葉じゃ失礼なくらいかわいくて、さっきまで騒いでいた心臓が一気に静かになった。


「……どうした?」


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