ふたご王子に恋をした
写真に目を止め、かたまっているあたしを見て陽が顔をのぞきこんだ。



「あ…えっと…この写真の女の子、カワイイなと思って……」



そう言ってそのページを開いたままアルバムをテーブルの上に置くと、陽は写真を見たあとゆっくりと目を閉じて息を吐く。



「……あぁ、真美、のことか。」



真美?


陽の口からポンと女の子の名前が出たことに少しだけ違和感を感じた。


陽って女の子のこと名字で呼ぶイメージしかないから……


なんでか胸がざわついた。




「…仲、良かったんだ?」


「まぁ、な……」




その言い方はあまり深く話したくないというカンジにもとれたし、何かを思い出しているようにもとれた。



あたしの知らない陽と旭の過去…


ズカズカ踏み込む気はないけど…知りたいと思うのはなんでだろう…


写真に映る、あたしの知らない旭と陽がそこにはいて、写真から目を離せなかった。



「………気になる?」


「…え?」



「真美のこと。」



あたしってどんだけ顔に出てるんだろう…鏡で確認したいわ。


小さく頷くと陽は窓の外に目をやった。


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