ふたご王子に恋をした
屋上の重々しい扉を開けた瞬間、爽やかな風が吹き抜けた。


「かーっ!やっぱ屋上気持ちがいいぜっ☆」


本当は生徒は屋上立ち入り禁止なのだが、今年の4月、國政がここの鍵をぶち壊したおかげで勝手に出入りができるようになった。


ちなみにぶち壊したことは先生たちにはバレてない。


バレたら怒られるなんてレベルじゃ済まなそうだけど。


広々とした屋上はとっても気持ちがいい。


あたしはデッカイあくびをかましながら、ぐんっと背伸びをした。


その瞬間、手に持っていた原稿用紙と誓約書がブワッと風に吹かれてあたしの手元から離れた!



「うーわっ!あたしの原稿よーしー!」



ヒラヒラと舞う原稿用紙を必死で追いかける。


はたから見たらなんてこっけいな姿なのかしら。



「ちょっと待たんかーい!また怒られるっつーの!」


ペラッペラの用紙たちはあたしをあざ笑うかのごとくヒラヒラと舞うとそのままフェンスを越えて校庭へと向かった。


「ギャー!行かないでー!」


映画の感動シーンのようにフェンスにはりつくあたしをよそに用紙たちは優雅に下へと落ちていく。



「うおおぉ!ヒドいー!ヒドすぎるー!」




「……うるさ。」




………………え。


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