ふたご王子に恋をした
俺が今正直に、


好きだ


とアイツに言ったら何か変わるだろうか。


……いや、困らせるだけだ。



まわりを気遣うアイツのことだから、誰も傷付かない道を探すんだ。


困らせて、

悩ませるくらいなら



俺は好きだなんて伝えなくていい。



それでアイツが笑って旭と付き合えるなら、


俺はいくらでも我慢できる。


なかったことに出来る。



全部………なかったことに…



俺は不器用だから、


うまくはやれないんだ。



いい方法が何かなんて分からないんだ。




自分でも笑えるくらい、あのときからちっとも変わってないんだ。



大丈夫


あのふたりならうまくやっていけるし、


俺は何事もなかったように見守ってける。


大丈夫。





ベッドに腰をおろし、ネクタイをゆるめると携帯を手に持つ。


今日交換したばかりの電話番号に電話をかける。



これが、


俺の足りない脳みそで考えた、


答えだから。








「……もしもし、雨宮?俺だけど……」


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