ふたご王子に恋をした
あたしは教室を飛び出すと無我夢中で走った。


自分でも分からないけれど、とにかく人のいないところ…


ひとりになりたくて階段をかけ登っていた。




屋上のドアノブに手をかけて、ふと思い出した。



『………うるさ。』


『デケェひとりごと……』




陽と初めて会ったのは屋上だった。




「………っ!」



足に力が入らない。

立っていられない。



あたしは屋上のドアの前にペタンとしゃがみこむ。



なんで………



なんであたし、



こんなに傷付いてんの?


ショック受けてんの?



紗結ちゃんはあたしの大事な友達だよ?


紗結ちゃんが好きなのは前から知ってたハズだよ?



心からおめでとう、


言ってあげたい。


紗結ちゃん、


陽はね、あぁ見えて実は優しくてツンデレなんだよ?


無愛想でたまに余計なこと言うけどそれは照れ隠しだから気にしなくていいよ。



強そうに見えるけど、案外旭より寂しがり屋だと思うんだ。


だけど寂しいなんてかっこわるいから言葉にはしないんだ。


全く、


素直じゃないよね…


陽って。


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