ふたご王子に恋をした
「おじゃましまーす…」



そして結局、市瀬宅にあがりこんでるあたし…


「座ってて。今お茶だすね。ホットミルクティーでいい?」



「はい。」



ソファーの上に足をあげ、ちょこんと座る。


旭のお茶を作る音だけが響いていて妙に静かだった。


落ち着く…




「……はい、どうぞ。」





コトンと置かれたマグカップの中からは湯気と甘い香りが漂っていた。




「……それで?単刀直入に聞くけど…ヒナとなんかあった?」



「え…?な、なんにもないけど…」



慌ててカップを口にあてる。




「ふーん…じゃあ、最近麻衣がやさぐれ気味なのはなんで?」



「や、やさぐれ気味って…」



「ボーッとしてるし、無気力だし、何よりヒナと話してるの最近見てないよ。」




…………よく見てるよね、旭って。



「ヒナも最近ウチでぜーんぜん麻衣の話しないしね。」



旭は目を閉じたままミルクティーをすすった。


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