ふたご王子に恋をした
「…俺には言えない話?」


あたしは首を小さく横に振ると静かにカップを置いた。



「…旭は陽から何にも聞いてない?」


「…なに?」


「陽ね…紗結ちゃんと付き合ってるんだ。」


「…………はぁ?」


その言葉に旭は眉をひそめた。


…聞いてなかったんだ。







「……陽が紗結ちゃんと付き合ったって聞いて、あたしなぜかスゴいショックだったんだ……あたしに優しくしてくれたのはなんでだったのかなって、わかんなくなっちゃって……前までスゴく近くにいたのに、今は遠くにいるような…そんな気がして…」



…寂しい。



寂しい。


前みたいにバカだのアホだの言って話したいのに、



紗結ちゃんの彼氏って思うと、うまく話せない…。


もう、そうやって話せる存在じゃないんだって…


話すときっと、胸が痛くなるから、苦しくなるから…


話したい、


話したいのに話したくない…



あたしのキモチはモヤモヤしてるんだ。


< 350 / 389 >

この作品をシェア

pagetop