ふたご王子に恋をした
「だってさぁ、麻衣って浮いた話のひとつもないんだもん。」


千夏が呆れたように頬杖をついて言う。


「憧れは色々あるっぽいのに、誰が好きだとか彼氏がいるだとかは一度も聞いたことないんですけどぉー。」



「うっ…確かに…そうだけど…」



千夏さんのおっしゃる通り、確かにあたしは“恋”とは無縁の生活を送ってきた。


恋することを諦めていたわけでも、憧れがなかったわけでもない。


むしろ『こんな恋愛したい!』って、憧れは強かったし、彼氏だって欲しかったさ。




ただ憧れが強すぎて…


…いや、むしろベタで王道な少女マンガの読みすぎで、いいなと思う男子がいても欠点を見つけるとすぐに冷めちゃってたんです。


あたしはマンガに出てくる全てが完璧で欠点がない男の子が理想だったんです。


つまり二次元の世界に恋をしてたと言っても過言ではないわけで…



それってつまりオタクじゃないかと言われれば、あながち否定は出来ないわけで…



結果、


恋愛下手ってこと。


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