ふたご王子に恋をした
千夏を見ると誇らしげに親指を立てて見せ帰って行った。



千夏のヤツ…


完全にハメられた!!


もお~!
なに余計なことしてくれちゃってんのー!?


「いやっ、その~…」


苦笑い気味に首を傾けていると、陽が「ふんっ」と後ろを向いて机の横にかけていたカバンを肩にかけた。


「あれ、ヒナ帰るの?」


「…ほっとけ。」



陽は肩に置かれた旭の手を払いのけ、あたしを見て軽く舌打ちすると教室を出ていった。


つーか舌打ちって!
こっちがしたいんだけど!


ムカつくな~!



「ごめん、ヒナなんかした?」


「あー、いや…大丈夫!」


「なんかあったら言ってね。注意しとくから。」


「う、うん!」




うぅ~……
優しいっ!
陽とは大違い!


旭の優しさに思わずキュンとする。



「それで、何の用事?」


「へっ!?あぁ~…えーっと…」



助けを求めようと紗結ちゃんを見たが、紗結ちゃんも親指をビシッと立てると足早にその場から離れて行った。



ひ、ヒドい!!



「えーっとおー…その…別に用事はないんだけど…」



言えないっ!
言えませんっ!


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