ふたご王子に恋をした
ウワサを知ってか知らずか観覧車の乗り場はうちの学校の女子や、カップルでにぎわっていた。


「あれ……陽?」



乗り場から少し離れたところに見覚えのある黒髪の“顔だけイイやつ”が立っていた。


「本当だ、陽くんだ。」


陽は離れたところで観覧車を眺めているようだった。


まさかアイツひとりで乗る気?


「陽ー、何してんの?」


「うわっ……んだよ、急に話しかけんな。お前、心臓に悪い。」


「いやアンタこそ人を化け物扱いしないでくれる?」



失礼な!


「こんなとこで何してんの?」


「…別に。」


「あ、もしや観覧車乗ろうとしてた?」


「してない。」


「じゃあなんでこんなとこいんのさ。」


「…イチイチうるせぇな。そういうのがウザいんだよ。」


「なっ……」



ウザい!?
ウザいだと!?


人がせっかく話しかけたっつーのに、そんな言い方しなくたっていいじゃん!


あたしはプーッと地味にほっぺたを膨らましたが陽は顔色ひとつ変えず、ダルそうにため息をつくとわざとあたしにぶつかった。



「いたっ!何!?」


「邪魔。どいて、ぬりかべ。」


カッチーン!

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