少年探偵室
タクシーに乗った三人は座席を動かした。
実はこのタクシー、運転手がいない。
榊が普通の車を改造して、運転手がいなくても目的地に安全に到着するようにしたのだ。
もしこの技術を発表したら榊はすばらしく得だが、榊自身がそんなことに興味は無いので発表などはしなかった。
榊がイスを倒し、そこから机を出した。
「次に行くのは紺城町だ。いいな、ここでは一つ、探偵を真似た子供の組織がある。紺城町では最近連続殺人が起きていて、この組織が色々と探っている。しかし、それはかえって犯人の気を高ぶらせるだけだ。
この組織の子供が危ない。
わかったな」
「その組織に入り込んで捜査を止めるわけですね」
光が真剣な眼差しで言った。
「そうだ。その間に俺は犯人を見つけ出し、脅迫する。 紺城町までまだ時間がある。寝てろ」
「「はい」」
二人はそう言って走っているタクシーのドアを開けた。
そこにはもう一台の車がドアを開けたまま走っていた。
「雲英、行けよ」
「何回やってもこわいって~光先に行って」
「俺が先に行ったらお前一人で行くんだぞ」
「いや~~」
光はそんな雲英を見て一回ため息をつくと、雲英をひょい、と持ち上げた。
「きゃ!」
「おら、そこ青春してねーでさっさと移れ」
「してません」
光はそのままもう一つの車の方に飛び移った。