少年探偵室
②
雲英たちの乗っている車内に、榊のアナウンスが流れた。
「オラてめぇら起きろや!!もうついてっぞ!さては昨日遅くまで起きてたな!」
一番に飛び起きたのは光。
「オイ雲英!!起きろ!仕事だ!」
「んぁ~?」
ゴッ!!!
「ぐぬあぁぁぁぁぁあぁぁああぁーーー!!!」
雲英は光のグーを思いっきりくらって飛び起きた。
「なんちゅー叫び声だ」
「いぎゃい~~」
「お前が起きないからだ」
しばらくして、雲英-kira-と光-kou-は車を出た。
車は二人が出た瞬間、どこかへ走り去って行った。
二人がしばらく歩くと、前方に榊が見えた。
「やっと起きたか」
「雲英がなかなか起きなくて………」
「私光に殴られてすぐ起きたよ!?」
「てめぇ希鳥のアナウンス聞いてねぇだろ!」
「うっ………」
雲英と光の言い争いはいつも雲英がつまって終わる。
そんなやりとりを見ていた榊はクスッと笑って言った。
「ここが紺城町だ。今日から一週間、俺はこの地図に書いてある、沙羅美-sarami-ホテルに泊まる。お前らはこの金でどっか泊まれ。」
榊はそう言って、一枚の手書き地図と、五万円を光に渡した。
「「はい」」
二人はそう答えて、頭を下げた。
「気をつけろ」
「希鳥もな」
そう言って光が顔を上げると、もうそこには希鳥はいなかった。