倫の実話怪談語り
爪音
15年家族の一員だった飼い犬が死んだ
もうすぐ16年目の大往生だった
私がまだ小学生で鍵っ子だった頃に
帰宅しても誰もいないのが寂しかったけど
犬がいたから
寂しさはまぎれた
だから私達は友達で
天気が悪くて雷が鳴ると怖くて寄り添ってきたり親が喧嘩をして私が悲しんでいると
近寄ってきてペロペロ舐めてくれたりした
だからすごく悲しくて
火葬してもらって
お墓に入れてもらった後も
ずっと泣いていた
犬は1階のフローリングの廊下で主に寝ていた
歩くと爪音がチャッチャッチャッチャ…とする
親には言わなかったが
死んだ後4、5日は
チャッチャッチャッ…
犬の爪音を私は聞いていた
きっと 私が悲しみすぎるから
天国にいけないんだろうか
そう思った日から
私はなるたけ
ロッキーが天国にいけることを願うことにした
そうすると
ある時から
爪音はしなくなった
安らかに眠ってね
ロッキー