君はまた僕を好きになる。
────それから月日が流れ…優香は、まるで生きる事を拒否しているみたいに眠り続け──…季節が変わり…春が来て──そして夏が来た─…
その頃の俺は、秀にぃと作った曲がヒットし、仕事が舞い込むようになった事をキッカケに、それまで使っていた姓『榊原』を新たに『橘』に変え、家も、それまで住んでいたアパートから、別のアパートに引っ越した。
名字と引っ越しを決めたのは、アイツから…直人から逃れる為だった…。
もう、二度と直人に会わない為に…。
名字の姓『橘』は母方の旧姓でもある。
「なぁ…優香…早く目を覚ましてくれよ…。なっ…新しい部屋で、また2人で過ごそう──…
もう一度…起きて
お前の可愛い唇で、声で、俺の名前を呼んでくれよ──なぁ…優香─…」
眠り続ける優香の手を握りしめ…ただ…祈ることしかできない自分が歯がゆくて…悔しくて──時間だけが流れていった──…
そんな…ある日──…