道のない甲子園
担任は呆然としていたが、あり得ないとでも言うように呟いた。
「…我が校の…野球部の事を知らないのか?」
「はい。知らないです」
「…野球部の成績も?」
「はい」
地元からの距離を考え
6月という中途半端な時期に受け入れてくれる学校で、条件が一番良い学校がここだっただけで
学校について野球部が在ることくらいしか知らない。
「ここの野球部はテストに合格した者しか入部できない。
それに有名な選手が何人も来ていてる。
お前も中学で野球をしていたなら噂ぐらいは聞いたことあるだろう?」
「先生…。俺は確かに中学で野球をやっていましたけど、
海外には日本の学生野球の情報なんて殆ど入ってきませんよ」
「そうだったね…。どうしても受けたいんだね?」
「入部したいんです」
担任はバカにしたように、俺の体を見た。