道のない甲子園

マウンドに着くと
｢真柴､ちょっと来てくれ｣と
真柴先輩が監督に呼ばれた｡

｢海は中学でﾋﾟｯﾁｬｰをやっていたらしい｡球を見たいから､受けてくれ｡
寺嶋は違うやつと練習してろ｣

｢監督!!俺の球は裕太さんしか捕れません｡
そいつの球を他の人にしてください｣

流石お気に入り…｡
口答えするって事は､自分が監督に気に入られてる自覚ありか｡

｢お前の球は…裕太じゃなくても捕れる｡
他の奴は､お前のコントロールの悪さに付いていけないから､捕り損ねるだけだ｡
自惚れるなよ｣

｢それはっ…｣


まだ食い下がるのかよ｡


｢…僕が捕りましょうか？あんたの球｣

｢ｾｶﾝﾄﾞのお前には捕れねえよ｡俺の球は｣

ｷｬｯﾁｬｰやったことないけど､さっきのが本気の球なら余裕で捕れる｡