道のない甲子園
寺嶋は驚いたようで固まっていた。
「よし、寺嶋もういいだろ…」
「っ………」
「海、次は投げろ。裕太は座れ。寺嶋は向こうのマウンドで練習しろ」
「「はい」」
「球種は?」
「はい、変化球はスライダー、シュート、カーブ、ナックルカーブの4球種です」
「コースは?」
「8分割です」
「8…?」
「上3、真ん中2、下3です」
「よし、球種とコースは俺が指定する。いいな?2人とも」
「「はいっ」」
俺はその後、10球ほど投げさせられた。
「裕太の感想を聞こう」
「……比べ物にならないです。今のうちのエースと…。
セカンドとして使うなんて…」
「勿体ない」
「はい…。
有名になってないのがあり得ないくらい…」
「…今度は俺が捕る」
そう言って、監督は座った。