道のない甲子園
秘密
部活が終了した。
「海。話しがある…残れ…」
「はい…?」
皆が帰っていく中、俺は監督の元へ行った。
「部室横の教官室に来てくれ」
そう一言言うと、監督は俺に背中を向けて歩き出した。
教官室に入ると、イスに座るように言われた。
「今から映像を見てもらう。
古いから少し画質は悪いがな…」
大きなプロジェクターに写し出されたのは……。
あの日のお兄ちゃんだった…―――。
「この投手の感想を知りたい」
「…有名になってないのが、おかしいくらい上手です」
無意識に見ないようにしていた、兄の姿にグッと歯を食い縛った。