道のない甲子園
事件
あの日から監督は居残り投球練習を命じ、他の部員と俺のシャワーの時間をずらしてくれるようになった。
「「「「「お疲れ様でした。ありがとうございました」」」」」
背番号をもらっているものは、続々と部室に向かい。
その他の部員は後片づけとグランド整備を始めた。
そんな中俺は、1人黙々と投球練習の準備を始めた。
「海っ!!今日は結構投げ込んだから、もう止めとけ」
後ろから俺の女房の真柴 裕太の声がした。
「試合だったらもっと投げますよ。
俺の事は気にせず、裕太さんはあがってください」
「お前なぁ…。ったく、わかったよ。今日はあがるよ。
明日は鏡じゃなくて、俺が投球ホームを見てやるよ」
裕太さんは悔しそうに頭を掻きながら、部室に向かって行った。