道のない甲子園
真実
それからの私は朝起きて、兄が行っていた練習をやり、
小学校が終われば、リトルリーグに行き練習。
リトルの練習が終われば、再び兄のメニューをこなす日々が続いた。
そんな中…私が今の道を歩むきっかけとなる出来事が起きた…。
いつもならもう寝ている時間に
…何故かリビングに向かっていた。
リビングには両親が居るようで、扉から光と話し声がもれていた。
私は耳を澄ませた――――‥。
「海ったら今日も真っ黒になって帰ってきたんですよ」
「いいじゃないか。元気があって」
「そうですけど、海は女の子ですよ。野球ばっかりして勉強もしないで…」
「成長するにつれてわかってくるだろう。自分が兄とは違う‥女の子だっていうことが」
お兄ちゃんと違う???
「そうかしら…。あの子、女の子でも甲子園に行けると思ってるのよ」
私は母が何を言ってるのかわからなかった。