道のない甲子園
いつものようにゆっくりと片付けを始めた。
片付けを終え、部室に向かうと何故か白い姿があった。
仕方ない着替えだけして、寮まで我慢するか…。
俺は歩みを止めずに進んだ。
「…おい、お前に同い年の親戚か、双子の妹はいないか?」
「……いきなりどうしたんだよ。
健一」
「良いから答えろ」
「居るよ。親戚に…」
「…そうか。そいつ野球は…」
「やってたかもな…。知り合い?」
「同一人物であればリトルが同じだった。
そいつ中学からはどのシニアにも、学校にも入ってなかった」
健一…金田 健一?
小5になってから、自主練ばっかしてて覚えてないけど、上手い奴が入ったって言ってたっけ。
確か金田って名前だったかも。
「そんな昔の事覚えてるってことは、あいつのこと好きだったわけ?」
自分で言ってて恥ずかしかったが、誤魔化すためにはしかたなかった。
「好きではっ…。俺より上手かったんだ。女のくせに」
「そっか…。
俺が子供のときも居たなぁ、自分より上手い女子…」
言葉は嘘ではなかった。
自分より上手い女の子はいたことに間違いはない。