道のない甲子園
旅立ち
私は小学校を卒業する頃
両親に話した。
「私…留学したい」
「「…えっ…」」
「学校の先生に聞いたら、今の成績なら大丈夫だって言われて
向こうの中学校の入学テストを受けさせてもらったの」
固まったままの2人だったが、そこまで言うと父が口を開いた。
「…結果は?」
「合格した」
私は鞄から封筒を取りだし、父に渡した。
「何年間行くつもりなんだ?」
「正確には決めてない。
ただ、向こうの中学校に3年間行ってみて…高校を日本にするか、そのまま高校も向こうにするか決めるつもり」
「そうか…。いつから行こうと思ってた?」
「小学4年生の時から…」
「そういえばあの頃から成績がグンっと上がってたなぁ。それにしてももっと早く話して欲しかったぞ」
父が切ない笑顔を見せた。
「…ごめんなさい」
「海らしいな」
私と父は笑い合った。