いちばんの星


「いい加減にしろッ!これ以上話すことはないッ!!」



いつになく苛立つヴェルヌの声に、ミュリエルはいけないと知りつつも思わずドアの前で聞き耳をたててしまう。



「しかし…彼らの言うことも間違いではありません」



ヴェルヌと話すもう一人の人物。



ヴェルヌの気迫に負けず、今度は彼が大きな声を上げる。



「使用人という事だけでも気にくわない人間が多い中、親もいないとなれば反対されるのは当然ですッ!!」



自分の話をしている…



ミュリエルは体が小刻みに震えるのがわかった。



身分の違いは理解しているつもりだった。



それが、乗り越えなければならない大きな問題であるという事もわかっている。



しかし、直接他人の口から言葉として聞いた時の衝撃は予想以上に大きかった。
< 110 / 126 >

この作品をシェア

pagetop