いちばんの星
「国は今王のお力でどんどん力をつけています。今が大事な時なのです…もう一度お考えくださ……」
「黙れッ!!」
バンと大きな音が聞こえた。
ヴェルヌが机を叩いて立ち上がる。
「俺は彼女を妻にする。これ以上お前と話すことはない」
部屋を出ようと扉を開けたヴェルヌは、そこにいた人物に言葉を失った。
「ミュリ…エル…」
俯くミュリエルの肩にそっと手をかけると、ゆっくりとミュリエルが顔を上げた。
「っ……」
瞳から溢れ出る大粒の涙…
「ミュ……」
ヴェルヌが手を差しだそうとしたが、その手がミュリエルに触れることはなかった。
泣きながら走り去るミュリエル。
ヴェルヌは差し出した手を強く握りしめるとミュリエルの後を追って駆け出した。
「ミュリエルッ!!」