いちばんの星
スティークとヴェルヌは幼い頃から兄弟のように過ごしてきた。
スティークの父も過去に近衛隊長を勤めており、サヴィアーノの前国王の片腕として絶対の信頼を寄せられていた。
ふたりはプライベートでも仲がよかったため、自然にヴェルヌとスティークも一緒に遊ぶ事が多かった。
そのため、ヴェルヌより年上のスティークはヴェルヌの事を本当の弟のように思っていたのだ。
「昔はあんなに素直だったのにな…」
ヴェルヌの部屋を出たスティークはふと昔の事を思い出していた――…
『スティーク…俺は女なんか大嫌いだ。俺が王子だっていう所だけで誰も本当の俺を見てくれないんだ…』
まだ王子だったヴェルヌが、初めて恋をした時にスティークに言った言葉だった。
――幼いヴェルヌが過去に自分に言った言葉…
その時に心に負った傷は幼いヴェルヌにはあまりにも深すぎた。
「いつか…あいつも誰かを本気で愛せる日がくるといいんだが…」
まぁ、しばらくは無理だろうな。
空を見上げながら、スティークは親友であり弟のようでもでもあるヴェルヌの将来を案じるのだった。