いちばんの星
――――――
ヴェルヌはソファーに横になりながらいつものように酒を呷っていた。
「どうしたの、ヴェルヌ様?なんだか嬉しそう…」
側にはいつものようにリヴィアが寄り添っていた。
「何でもない。それより…今日からしばらく来なくていいぞ」
「え?」
突然のヴェルヌの言葉に、リヴィアはその美しい顔を歪ませた。
「どうして…」
――コンコンッ。
リヴィアが言いかけた時ドアがノックされ、リヴィアにとって見覚えのある人物がやってきた。
(あの女…昨日の…)
リヴィアがミュリエルを睨みつけていると、ヴェルヌがソファーから立ち上がり「早く出ていけ」とリヴィアをドアの方へ促す。
「ヴェルヌ様のいじわる」
いつものように笑顔でそう言ったもののリヴィアの心の中は怒りで一杯だった。
しかしそれを顔に出すなどという無様なことはしない。
すれ違いざまミュリエルをキッと睨みつけると、リヴィアはまた妖艶な笑みで「では」と部屋を後にした。
一方のミュリエルは、リヴィアに睨まれた事でまだ心臓がドキドキしていた。
あの目、確実に自分に対する怒りが込められていた。
その時、
「おい、突っ立ってないで早くこっちへこい」
そう言って座るよう言われたのは先ほどまでリヴィアが座っていたソファーだ。
「し…失礼します」
ミュリエルが少し遠慮がちに座ると、ヴェルヌもその隣に腰を下ろした。