いちばんの星
ぐいとミュリエルの前にグラスを差し出すヴェルヌ。
ミュリエルはそっと目の前にあったワインの瓶を手に取るとグラスに注いだ。
それをゴクゴクと飲むヴェルヌの横顔をじっと眺めると、改めて彼の美しさに目を奪われる。
最低だとは思ってもやはり王族。その容姿の美しさは本物だ。
そんなミュリエルの視線に気づいたヴェルヌは、唇の端を吊り上げてニヤリと笑うと、
「なんだ…俺の顔に見とれたか?」
と言って意地悪そうな笑顔でミュリエルを見つめ返す。
「……っ!!」
そんなヴェルヌの微笑みに、ミュリエルは自分の顔が真っ赤になるのを感じて急いで目をそらした。
そんなミュリエルの予想通りの反応に、ヴェルヌは少しだけ微笑むと再び口元にグラスを運んだ。
「あの…」
そんな時、意を決したミュリエルが静かに口を開いた。
「あの…本当に申し訳ありませんでした。どんな罰でもお受けします」
ヴェルヌは、俯きながら震える声で言うミュリエルの頬に手を当てるとぐいと自分の方を向かせた。
「俺はお前に興味が湧いた。昨日も言ったが女なんてどれも一緒だ。つまり…お前も…俺がその醜い本性を暴いてやる」
死罪なんて、そんな簡単に殺しはしない――。
俺に溺れさせてやる……他の女と同じように。