いちばんの星
――――――
いつものようにミュリエルが食糧庫で寝ようとしていると、小さな影が動くのが見えた。
「ミュリエル…いるの?」
「ラナッ!?」
やってきたのはラナだった。
ラナは暖かいスープとパンを持ってきてくれた。
「助けてあげられなくてごめんね」
そう言ってポロポロと涙をこぼすラナを優しく抱きしめるとミュリエルも嬉し涙を流した。
「来てくれてありがとうラナ。でもあまり遅いとあなたまで言われてしまうわ」
ラナは嫌がったがミュリエルがお願いと頼み込むとラナはしぶしぶ帰って行った。
―――――
帰り道。灯りがなく真っ暗な道を歩くラナは今にも転んでしまいそうな様子だった。
「今度は灯りを持ってこないと…」
行く時は必死だった為何とも思わなかったが、夜中の庭は思いのほか真っ暗だ。
――その時。
「きゃッ」
石に躓き体勢を崩したラナは次に体にくるだろう衝撃を覚悟して目を閉じた…
…しかしいつまでも衝撃はやってこなかった。
「大丈夫ですか?」
転びそうなラナを抱きとめたのは、近衛隊長のスティークにだった。