いちばんの星
人影を見つけ曲者ではないかと追いかけてきたのだ。
「すッ、すみませんッ」
ラナが慌ててスティークの顔を見るとラナの頬が一瞬ポッと赤く染まった。
――なんて素敵な人…
そう思うと急に恥ずかしくなり、ラナはとっさに口を開く。
「失礼致しましたッ!」
慌てて頭を下げ走りさろうとしたラナは、スティークによって腕を掴まれた。
「こんな時間に何をしていたんだい?」
スティークの問いにラナは何と言っていいのかわからず「あの…その…」と口ごもってしまう。
そんなラナを見て、スティークははぁ、と息をはくと自分が着ていた上着をラナの肩に掛けた。
「とりあえず今日は部屋まで送るよ。また転ばれても困るしね」
そう言ってにっこりと微笑んだスティーク。
多くの女性がこの笑顔に心を奪われた。
それはラナも例外ではなかった。
耳まで真っ赤に染めたラナをスティークはしっかりと部屋まで送り届けた。
この時からラナは無意識にスティークの事を目で追うようになったのだった。