いちばんの星
ラナがふとそう言うと、ミュリエルは一気に顔を真っ赤にした。
「なっ、そんな事っ…」
面白いくらいに動揺するミュリエルを見て、ラナはくすりと笑った。
そんなラナにミュリエルは「本当に違うのよ」と必死に説明するのだった。
「じゃあ、そろそろ行くわね。風邪をひかないでね」
そう言うとラナは立ち上がり名残惜しそうにその場を後にした。
最近のミュリエルはラナが会いに来てくれるのが楽しみで仕方がなかった。
日中仕事をしている時にも会えるのだが、自分がラナに話しかけているのをエミリアを見られては今度はラナも巻き込まれてしまうと思い極力話しかけないようにしていたのだ。
そんなミュリエルの気持ちを悟ったラナは、夜になると少しの食べ物とお茶を持って会いに行くようになった。
――――――
「また出歩いているのかい?」
「スティーク様ッ!」
部屋への帰り道。城の入り口に体を預けた格好でスティークが立っていた。
あの日以来、ごくまれにだが、スティークとラナは会って話をする事があった。