いちばんの星


スティークは、こんな時間にラナがどこへ行っているのか何度も問い詰めたがラナはいっこうに口を開こうとしなかった。


(向こうにあるのは食糧庫だけだったはずだが…)



いくら使用人とはいえこんな時間に、しかもこんな頻度で用があるとは考えにくい。



「スティーク様は何を…?」



少し頬を染め、キョトンとした表情でスティークを見つめるラナ。



そんなラナにスティークは何と答えていいかわからずカリカリと頭を掻いた。



確かに、自分は何をしているのだろうか……



――これではまるで、ラナを待ち伏せしていたようではないか。



「――っ、とにかく…こんな時間に女性が独りで出歩くなんて危ないよ」



いつも通り、そうニッコリ微笑むと、スティークはラナの頭を優しく撫でた。



ラナは再び顔を真っ赤に染めるとペコリとお辞儀をし逃げるようにその場を後にした。



そんなラナを見てスティークは微笑むと、「さて」 とその足を中庭へと向けた。



(そんなに危険はないだろうけど…俺も一応近衛隊長だからな…)



夜風が妙に肌寒く感じて、スティークは体をブルッと震わせながら食糧庫へ向かって歩き出した。




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