いちばんの星


翌朝城からの使いが再び酒場へやってくると、よくしてくれた酒場夫婦に別れを告げ使いの乗ってきた馬に乗せられ城へと向かった。



城へ行く途中、たくさんの人から声を掛けられた。



ただの一市民であるミュリエルも、今はまるで王族のように多くの人の注目を集める。



酒場で働いた時とは違い、綺麗に正装したミュリエルはとても美しかった。



透き通るように白い肌と、太陽の光を浴びてキラキラ光る薄い水色の髪。



大きな瞳も髪と同じ薄い水色だ。



美しくフワフワと揺れる髪をなびかせながらミュリエルは城へ向かう。



そんなミュリエルに街の人間はほぅ、と息を漏らし見とれた。



ミュリエルが恥ずかしさのあまり顔を伏せると、城からの使いが胸を張るよう促した。



――名誉ある事なのだから堂々としなさい、と…



やがてミュリエルの目の前に美しいサヴィアーノの城門が映る。



「新しい使用人をお連れした!開門を!」



一度目を閉じじっと何かを考えると、ミュリエルは静かに目をあけた。



もう――、今までの生活へは戻れない…。



ミュリエルの乗った馬は、静かに城の門の中へと消えていった。

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