いちばんの星
軽くヴェルヌが舌打ちをして近づいてきたかと思うと、突然ミュリエルの口が塞がった。
ヴェルヌが、泣いているミュリエルに無理やり口づけをしたのだ。
「んっ…」
――決して優しくはない口づけ…
初めての……口づけだった。
ミュリエルは涙が止まらなかった。
なぜかはわからない、しかし、溢れ出る涙を止めることはできなかったのだ。
「はぁ…はぁ……」
ふたりの唇が離れるとヴェルヌは冷たい瞳でミュリエルを見つめた。
まるで――初めて会った頃のように。
「帰れ」
もうここにはいられない…
ヴェルヌの冷たい瞳が、そう語っていた。
ミュリエルは泣きながら部屋を出て行った。
――ガタンッ!!
残されたヴェルヌはその拳で思い切り机を殴る。
「くそッ…」
――これでよかったんだ…
たとえお前を泣かせても…、どんなに恨まれようとも、俺は……こんな方法しか知らないんだ。
ヴェルヌは近くにあったワインの瓶を手にとるとそれを一気に飲み干した。