いちばんの星


――――――


突然泣きながら部屋へ帰ってきたミュリエルに、ラナは驚いた。



きっと国王様と何かあったのだろうと思ったが、そこには触れずひたすら泣き続けるミュリエルの背中をずっとさすっていた。



そして夜がふける頃。泣き疲れて眠ってしまったミュリエルを部屋へ残し、ラナはひとりスティークとの待ち合わせ場所に向かった。



いつものように笑顔で迎えるスティークにラナは一気に詰め寄った。



「今日ミュリエルが国王様の部屋から泣きながら帰ってきました。スティーク様は近衛隊長だとおっしゃっていましたよね?

…何かご存知ないですか?」



初めて見るラナの緊迫した表情に一瞬何かを考えたスティークも意を決して話し始めた。



「あいつに話したんだ…彼女が、ミュリエルがひどい嫌がらせにあってるって。だからあいつなりに彼女を守るために考えた結果だと思う…」



あいつというのはおそらく国王様であろう…



スティークの口調から、ふたりは単なる主従関係ではないことは感じ取れた。



しかし、ラナは自分の口から溢れ出る言葉を止められない。



「そんなの…国王様はただミュリエルの事を見捨てただけだわ…
今更ミュリエルの事を突き放したって嫌がらせが止むわけない…むしろきっと国王様にすてられたってさらに悪化するわ!」



おそらくラナの言っている事は正しいだろう…



スティークもそう思った。



「国王様は酷すぎるわ…さんざんミュリエルを利用して面倒になったら突き放すなんて…」



目の前で親友を思い泣きじゃくるラナを見ているとスティークは何と言っていいのかわからなくなった。



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