いちばんの星
使用人
――――――
「失礼します」
城の中の一室。沢山の書類に目を通しながら一定のリズムでサインをしている人物に向かってザランが声を掛けた。
「今は手が離せん。そのまま話せ」
「はっ」と小さくお辞儀をしながらこの国の大臣であるザランは、黙々と公務をこなす若き国王に話し始めた。
「本日新しい使用人が入城致します。いつも通り、王のお気に召すままに…」
それだけ告げると、ザランは部屋を後にした。
ザランが部屋を出ると、国王は一旦ペンを置き椅子から立ち上がると大きな窓の前に立った。
日の光を浴びてキラキラとその美しい金髪が輝く。
外を見つめる緑色の瞳と美しく整った顔立ち。
誰が見ても一瞬目を奪われてしまうようなそんな容姿をした人物こそサヴィアーノの若き国王、ヴェルヌである。
少し窓辺から外を眺めたヴェルヌは再び椅子に座るとまた黙々と書類に目を通してはサインをしていく。
その中にどこかの貴族が持ってきたのだろう。
自分の娘を妃に、といったような手紙があった。
ヴェルヌはそれをチラリと見るとそのままゴミ箱へと投げいれた。
「誰がこんなもん持ってきた」
そうポツリと呟くと、ヴェルヌは再びサインを書く手を動かし始めた。