いちばんの星
――――――
次の日の夜。ヴェルヌの元へ呼ばれたのはラナだった。
しかし、ヴェルヌはラナに手を出す事はなかった。
ただ側へおき、酒を注がせたりするだけだったのだ。
そんなヴェルヌの隣には、妖しく微笑むリヴィアの姿があった…
――ドンッ!!
突然後ろから押された衝撃で、ミュリエルは床に倒れ込んだ。
「ついに捨てられたようね?」
倒れ込んだミュリエルを見つめるのは…
美しく笑うエミリアの瞳。
「ちょっと気に入られたからって…あんまり調子にのるからばちがあたったのよ」
そう言うと、エミリアはフフンと微笑みスタスタと歩いていった。
残されたミュリエルはこぼれそうになる涙を必死で堪えた。
エミリアに言われた事よりも、ヴェルヌに突き放されたショックの方がミュリエルにとっては大きかったのだ。
『捨てられた』――他人に改めてそう言われると再びあの日のことを思い出してしまう。
もう決して見ることのできない――美しい緑色の瞳。
「大丈夫?」