いちばんの星
自分の淡い思いを簡単に裏切られたヴェルヌは、手当たり次第に令嬢や姫に手をだすようになった。
さすがにそれではいけないと感じた大臣ザランとエルトは、互いに相談して今の使用人の制度を設けたのだという。
「だから、ヴェルヌ様があなたを毎晩のように部屋へ呼んでいると聞いてとても嬉しかった…
あなただったら、ヴェルヌ様の凍った心を溶かせるかもしれない、と…」
そう言うとエルトはそっとミュリエルの手を握った。
「ヴェルヌ様を…見捨てないであげて…」
部屋へ戻ったミュリエルはエルトの話を思い出していた…
初めて聞いたヴェルヌの過去。
そして…
『ヴェルヌ様を見捨てないであげて…』
自分から見捨てたわけではない、でも、心はもうあなたを諦めている……
私は拒絶された側なのに…。
「ヴェルヌ様…」
ミュリエルは枕に顔をうずめて静かに泣いた。
私は――どうすればいいの?