いちばんの星
結ばれた思い
次の日。いつも通り仕事をこなすミュリエルにひとつの影が近付く。
――ガタンッ!!
床掃除をしていたミュリエルのバケツが音を立てて床に転がり中の水が勢いよく飛び散った。
「こんにちは」
頭上から降ってくるその声の主、それは…
「エミリアさん…」
ミュリエルは静かにその大きな瞳にエミリアを映した。
「今日は私が呼ばれているの。本当はあなたの番だったらしいけど国王様が嫌がったらしいわよ」
そう言いながら口元に手をあててクスクス笑うエミリアの周りには、同じようにミュリエルを蔑むように見つめる使用人が何人かいた。
「あなたも随分嫌われたものねぇ?まぁ…元々国王様があなたごときを相手にするわけなかったのよ」
ミュリエルはギュッと手を握り締めた。
確かにエミリアの言うとおり、自分は拒絶されたのだ。
何も言い返すことはできない。
――しかし。
「だって国王様は誰にも本気になんてならないの!女なんてどれも一緒…」
次の瞬間。
――パァンッ…!
エミリアの言葉を遮るように乾いた音が響く。
「な…」
エミリアが驚いた表情でミュリエルを見つめている。
じんわりと痛み出す、自分の頬を抑えながら…