いちばんの星
「国王様は…そんな方じゃないわッ!」
ミュリエルが立ち上がってエミリアを睨みつける。
「国王様は本当はそんな方じゃない!それなのに…それなのに悪く言わないでッ!」
自分のことを言われるのは我慢できた。しかし、ヴェルヌのことをそんな風に言われたら……
はぁはぁと肩を上下させながら話すミュリエルに、ツカツカとエミリアが近づく。
――パァンッ!
「あんまり調子に乗らないで…」
ミュリエルの頬を叩き返すと、エミリアは低く怒りのこもった声でそう言った。
そしてミュリエルの腕を掴むと、
「来なさい」
と引きずるように城の外へと連れ出した。
―――――
「えッ!どういう事ですかッ?」
ミュリエルとエミリアのやり取りを見ていたほかの使用人にミュリエルが連れて行かれたと聞いて、ラナは全身の血が一気にひいていくのがわかった。
スティーク様に伝えなきゃ…
――ラナは夢中で駆け出しだ。