いちばんの星
――――――
「よしッ!そろそろ休憩だ!」
近衛隊に稽古をつけていたスティークは、爽やかに額の汗を拭いた。
そして、隊の人間が全員休憩に入ったのを見届けると自分も近くの椅子に腰掛けた。
その時。
突然ひとりの隊員がスティークに近づいてきた。
「隊長…あの…」
「何だ」とスティークが聞き返そうとしたその時、向こうから聞き慣れた声が聞こえた。
「ちょっとッ。危ないからだめですって…」
「離してくださいッ。スティークさまッ!スティークさまぁッ!」
スティークが声のする方へと目を向けると、そこには止めようとする隊員を振り切り、必死でスティークを探すラナの姿があった。
そんなラナの様子にただ事ではないと感じたスティークは、すぐにラナの元へ駆け寄ると周りの隊員を下げさせた。
「どうしたんだい?そんなに慌てて…」
「ミュリエルが…ミュリエルが…」
スティークの服をギュッと掴むと、ラナは涙でいっぱいの瞳でスティークを見つめる。
「ミュリエルを…助けてください…」