いちばんの星
愛しているから
「失礼します」
ミュリエルの声に、ヴェルヌは笑顔を向けた。
しかし、ドアの前で俯いて立つミュリエルの様子に表情を曇らせた。
「ミュリエル…?」
ヴェルヌはミュリエルに近づくと、そっと体を抱き寄せた。
「どうした?」
優しく頭を撫でながらそう言うヴェルヌに、ミュリエルは再び涙が溢れてきた。
ヴェルヌの体温…
ヴェルヌの香り…
そしてヴェルヌの声
やっぱり私はあなたが好き…だから…
「ヴェルヌ様…」
「ん?」
「私…使用人を辞めます…」
涙に震える声で、ミュリエルはヴェルヌに告げた。
「何…だと?」
ヴェルヌは抱きしめていたミュリエルの体をそっと離すと、静かに話し始めた。