いちばんの星
「やめてッ!!」
ミュリエルの悲鳴にも似た声が響く。
しばらくの間、ふたりを沈黙が包む。
聞こえるのは、ふたりの息づかいだけ…
先に口を開いたのはヴェルヌだった。
「すまない」と言いながらミュリエルを優しく抱き起こすと、そっと上着をかけた。
ポロポロと涙をこぼすミュリエルにそっと触れようとすると、ミュリエルの体が大きく震え、ヴェルヌは伸ばした手を力なく下ろした。
「ミュリエル…城を出るのか?」
ヴェルヌの問いかけに、ミュリエルはコクリと頷いた。
「俺のことは…何とも思ってなかったのか…?」
ヴェルヌのその言葉に、ミュリエルは再びゆっくり頷いた。
「わかった…」