いちばんの星
ヴェルヌは立ち上がりドアを開けた。
「行け…」
ミュリエルに背中を向け冷たく言い放つヴェルヌの声を聞き、ミュリエルの目から再び大粒の涙がこぼれ落ちた。
「早く行けッ!!!」
ヴェルヌの言葉に、ミュリエルは力なく立ち上がると駆け足で部屋を出た。
大切な人なのに…
「うっ…」
しばらく走ると、ミュリエルは真っ暗な廊下の端に座り込んだ。
「ヴェルヌ…さまっ…」
愛しているから…
部屋に残ったヴェルヌはワインの瓶を取りそれを飲み干すと、壁に向かって思い切り投げつけた。
「くそッ!!!」
愛していたのに…
愛しているから別れを選んだミュリエルと、愛しているから引き留めることができなかったヴェルヌ…
一度絡み合った運命の糸は、再びゆるみ始めてしまった…