いちばんの星
第五章 いちばんの星
新たな出発
――――――
(これからどうしよう…)
勢いで出てきてしまったものの、この先どうするかまでは考えていなかった。
ひとまず広場にある噴水に腰掛けると、ぼんやりと風景を眺めた。
「ラナに何も言わないででてきちゃったな…」
使用人になってからずっと一緒にがんばってきたラナ。
今では何でも話せる親友だとミュリエルは思っている。
おそらくもう会う事はないだろう…
「スティーク様にも…何も言えなかった」
ヴェルヌと結ばれた時、陰でヴェルヌに怒鳴ってくれたのだとラナに聞いた。
そして…
「ヴェルヌ様…」
今でもまだ思い出す、愛しい人の声。
やっと結ばれた糸を自分の手でほどいてしまった…