いちばんの星


昔の事を思い出し、スティークの頬が緩む。



「スティーク様?」



エルトの問いかけに「何でもないよ」と笑顔で答えると、スティークは部屋を後にした。



もうヴェルヌも子供じゃない。



ふたりに何があったのか、それはもう自分が踏み込める問題ではないとスティークは判断した。



しかしもしヴェルヌが話してくれたなら…



その時は精一杯力になろうとスティークは心に決めたのだ。



「ラナ…大丈夫かな」



無造作にまとめられた髪をほどき軽く頭を振って髪をならすと、スティークは再びラナの元へと向かったのだった。
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