小さな恋の物語
「もう..来れないんだ」
消えてしまいそうな声で、男の子が言います。
『..え?.......どうして?』
女の子は笑顔で居続けます。
「抜け出していることがバレてしまったんだ。僕は...将来..魔界っていうところの王にならなくちゃいけないんだ..。だから..だからみんな僕を城に縛りつける..。これからは警備がもっと厳しくなるから..。だから..。もう.....もう来れない」
『.....そんな』
男の子はとても嘘を言っているようには見えません。
笑っていた女の子の瞳から涙が零れ落ちました。