奉公〜咆哮1番外編〜
 周りを見回すと、オタクファッションというのだろうか、

……リュックサックに手さげ紙袋、アースカラーのスラックスにTシャツ、その上から地味なギンガムチェックのシャツを羽織った若者が、そこここに見受けられる。

こんな平日の昼間からフラフラうろついて、こいつらは一体どこから収入を得ているのか……。だがこれも現代日本文化の一端を担うムーブメントなわけだし、肯定しなければいけないのだろう。

しかしどうでもいいが、なんであの格好なんだ?! 彼らはアレをカッコいいと思ってるのだろうか。

  ウウウ〜ウウウ〜

 そうこうしている内に、サイレンを鳴らしながら狙撃隊と監視隊を乗せたバスが到着し、配置に着く。

『王子の予定が解らないので、ひとまず広範囲に配置してあります』

 関口警部から連絡が入った。もうそろそろ王子も到着する頃だ。

暫らくすると、まるでモーターで動いているかのような滑らかさと静かさで王子のリムジンはやって来た。

  ガチャ、ドサドサッ

 ドアが開いた途端、満載の土産物がこぼれ出る。

「やい玉ねぎ! フィギュアはデリケートなんだぞ?早くどうにか処理して来い!」

「ぎょ、御意」

 可哀想に、玉ねぎ何号だかは叱り付けられアタフタし出した。頼りない従者だ。

それを尻目に玉ねぎ一号は予定を進める。多分使えるのは彼だけなのだろう。

「王子はこちらに伺う前にラマネリ王国で『ナツバマップ』なるものをお取り寄せになり、ご希望のご訪問先をリストアップなさってらっしゃいます。
 最初は
 ……どこでしたっけ」

「ホンキドーテだ。ここのホンキドーテはまた楽しい催しが目白押しでな」

 ラマネリ語で『目白押し』って言葉が有るのか?

まぁそれはいいとして、ここでも【列】と【在】を駆使して王子をお守(マモ)りする事となる。

正直お守(モ)りと大して変わらない気もするが。


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