奉公〜咆哮1番外編〜
 2時間後、ハ○ーH2のラジコンを持たされて、茫然としている栗原が居た。

「冗談だって言ったのに……」

 結局ラジコンで誤魔化されたんだろうって? いやいや。

面積は日本の百分の一しかない小国なのに、GDPは遥かに日本のそれを凌いでいる、富みに富んだ国。それがラマネリなのである。

栗原とお揃いの車に乗るんだと言って王子は○マーH2を2台購入し、1台を栗原に与えた。王子の1台はさすがにフоデックスでは送れないので、カーフェリーをチャーターし、ラマネリ王国迄運ばせるのだと言う。

栗原が持っていたラジコンはこれも王子が2台買った、納車迄の慰み物だそうだ。

ガムでも買うように高級車をホイホイ買ってしまうなんて、本当の金持ちというのは計り知れない。

「こんなの貰っちゃって……『今夜の夜伽は頼んだぞ?』なんて事にならないすかね!」

「もしそう言われたら、断る訳にはいかないだろうな」

「えええっ? そんなぁっ!」

「乗り掛かった船だ、栗原。いや、乗るにしろ乗られるにしろいい人生経験だ、行ってこい!」

「乗るとかそんなっ、キモイっすよぉ坂本さぁん!」

 まだそう言われた訳でもないのに2人して盛り上がる。しかし北田にしろ、王子にしろ、なんで男がいいんだろう。

おっぱいが付いてないののどこが気持ちいいんだ?

「淳!」

 里美の胸が文字通り俺の前に躍り出た。

「そうそうこれこれ!」

「王子達、行っちゃったわよ? それに『これこれ』ってどういう事よ」

「いや、里美は可愛いなぁと思ってな」

 イケナイいけない、余りに緊張感が無いので、任務を忘れる所だった(これが任務と呼べるなら、の話だが)

忘れると言えば……あの美少年は一体どこへ行ってしまったんだろう。

「王子はどこへ行かれた?」

 でも里美は、何でそんなに真っ赤になってるんだ?

「里美、どうかしたのか?」

「淳から面と向かって可愛いだなんて、初めて言われたから……」

 随分俺の口も軽くなったもんだ。恋愛って……恐ろしいもんだな。


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